漸化式で問題の構造を明らかにした。

2つの食塩水AとBがある。
Aは質量200gで濃度が5%,Bは質量250gである。
100gずつ取りだして交換する動作を5回繰り返したところ、
AとBの濃度の差が0,0001%になった。      
初めBは何%の食塩が含まれていたか?
初めのBの濃度はAより高かったとする。

(解答)
食塩水Bの濃度をb%、
n回の操作後の容器A,Bの食塩量をそれぞれ、a[n],b[n]とする。
a[n]+b[n]=a[0]+b[0]=10+(5/2)b…①
a[n]=(1/2)a[n-1]+(2/5)b[n-1]…②
①より、b[n-1]=10+(5/2)b-a[n-1]
これを②に代入して、
a[n]=(1/2)a[n-1]+(2/5){10+(5/2)b-a[n-1]}
a[n]=(1/10)a[n-1]+b+4…③
a[n]-α=(1/10)(a[n-1]-α)…④
とおく。
③と④の係数を比較して、
(1-1/10)α=b+4
α=10(b+4)/9…⑤
⑤を④に代入して、
a[n]-10(b+4)/9=(1/10){a[n-1]-10(b+4)/9}
a[n]-10(b+4)/9=(1/10)^n{a[0]-10(b+4)/9}
a[n]-10(b+4)/9=(1/10)^n{10-10(b+4)/9}
a[n]-10(b+4)/9=(1/10)^n{10(5-b)/9}
a[n]=10(b+4)/9+(1/10)^n{10(5-b)/9}

ここで、仮定より、5-b<0なので、下のように符号を変える。
また、項(1/10)^n を式の最後に順序を入れ替える。

a[n]=10(b+4)/9-{10(b-5)/9}(1/10)^n…⑥

①より、b[n]=10+(5/2)b-a[n]だから、
b[n]=10+(5/2)b-10(b+4)/9+{10(b-5)/9}(1/10)^n
b[n]=25(b+4)/18+{10(b-5)/9}(1/10)^n…⑦

まとめて、
a[n]=10(b+4)/9-{10(b-5)/9}(1/10)^n…⑥
b[n]=25(b+4)/18+{10(b-5)/9}(1/10)^n…⑦

5回の操作後の容器A,Bの濃度をそれぞれ、A[5],B[5]とする。
また、共通する項なので、C={10(b-5)/9}×(1/10)^5 とおく。

⑥より、
A[5]
=(1/200)a[5]
=(1/200){10(b+4)/9-C}
=(b+4)/180-C/200…⑧

⑦より、
B[5]
=(1/250)b[5]
=(1/250){25(b+4)/18+C}
=(b+4)/180+C/250…⑨

C>0だから、
C/250-(-C/200)=10^-6
(9/1000)C=10^-6

これに、C={10(b-5)/9}×(1/10)^5を代入して、
(9/1000){10(b-5)/9}×(1/10)^5=10^-6
(1/100)(b-5)×(1/10)^5=10^-6
(b-5)×(1/10)^7=10^-6
b-5=10
b=15
15%

食塩量の一般式は、
a[n]=10(b+4)/9-{10(b-5)/9}(1/10)^n…⑥
b[n]=25(b+4)/18+{10(b-5)/9}(1/10)^n…⑦
濃度の一般式を省略なしで書くと、

A[n]=(1/200)a[n]
=(b+4)/180-{(b-5)/180}(1/10)^n…⑧
B[n]=(1/250)b[n]
=(b+4)/180+{(b-5)/225}(1/10)^n…⑦

各式の最後の×(1/10)^nから、
n=5の時の、濃度の差が0.0001%=10^-6という微細な差となることが分かる。

操作0回で15%-5%=10%
操作1回で濃度の差は、1/10になるから、1%。
2,3,4,5回で、0.1%,0.01%,0.001%,0.0001%となる。
10回なら、0.000000001%。

漸化式は、難しい印象を持つ。
しかし、食塩水の濃度の問題の場合、食塩の総量が一定なので、食塩量a[n]の立式だけで済み、案外楽である。